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アーモンド

生まれつき扁桃体が小さく、感情を抱くことが出来ない主人公ユンジュ。笑うこともなければ悲しんだり怖がったりすることもない。母からは、周りから浮かないための処世術を仕込まれ、なんとか「変人」として目立ってしまわないよう、イジメの標的にされないよう生きる努力をしている。
そんなユンジュを可愛がってくれた祖母と母が目の前で通り魔に襲われ、祖母は亡くなり、母も植物状態に。それでもなんの感情ももてないユンジュ。
物語はユンジュの視点で書かれているので、余計な感情入らず(感じていないので(^-^;)、事実だけが淡々と書かれているためか、とても読みやすい。スッキリとした文章が事実の重さをより増しているように感じる。
そんなユンジュに、いわゆる“札付きの悪”、感情の起伏が激しすぎるゴニは、むしろ救いを見出しているかのように見える。この二人の不思議な関係に、ゴニの父やユンジュをサポートしてくれるユン教授も加わり、ユンジュは人との関わり方を少しずつ学んでいく。恐怖や不安から解放されているからこそなのか、ユンジュの言動は、率直で大胆。常人のそれよりもよほど誠実に感じられてしまうのが不思議だ。